NEX-T安曇野が安曇野市空家活用市民協働提案事業として取り組んでいる「安曇野終活のススメ」事業。ワークショップ、相談会、見学会等の成果をまとめたハンドブックが完成しました。今後も安曇野市と連携して、ハンドブックを活用した相談会や見学会を開催する予定です。
空家を負の財産にしないために、予防・診断・活用の視点でわかりやすく解説しているのが特徴で、よくある質問やチェックシートから確認できるようになっています。ハンドブックは安曇野市空家活用係で配布する他、下記よりダウンロードも可能なので是非ご活用ください。
NEX-T安曇野が企画提案し、安曇野市空家活用市民協働事業に認定された「安曇野“住まいの終活のススメ”」事業。先日終了した市民参加のワークショップに続く第2弾として、安曇野市との共催による空き家相談会&見学会を開催します。
相談会の1回目は8月25日で、会場は安曇野市役所明科支所。従来の建築士による安曇野市役所での相談会とは異なり、関係する専門家がチームで対応し、未利用の空き家の見学会を兼ねているのが大きな特徴です。空き家の状況や住宅診断の内容等について現地で具体的に説明すると共に、空き家の重要なポイントを「予防」「診断」「活用」の三段階に分けて、専門家がわかりやすくアドバイスします。
感染症拡大の影響を考慮し、5組限定の完全予約制となっています。詳しくは下記案内を参照の上、安曇野市空家対策室へお問合せください。
空家を人間の病気に例えると、活用(治療)より重要なのは予防のための事前診断(健康診断)です。そして空家という病気には、契約対象物の住宅診断等と、契約当事者の権利の確保という、異なる視点の2つの事前診断(健康診断)が必要なのです。
不動産取引を伴う空家の活用においては、契約対象物である土地建物と同様に、契約当事者となる所有者の法的能力の確認も重要なポイントです。例えば相続未登記等で所有者と登記名義が異なっていたり、所有者が認知症等で責任能力が無いと判断された場合には、法的な手続きを経た後でなければ契約当事者となることができないからです。
契約当事者の問題は、時間の経過と共に状況が複雑になり対応が難しくなってしまいます。契約当事者の診断は、空家という病気の兆候が見られた時点での、最初の処方箋だということを理解しておくことが大切です。
空き家の予防の2つ目は災害への備えです。火災の出火原因は電気火災と放火が上位を占めており、空き家であっても火災保険の加入は必須です。ここで大事なポイントは、火災保険は地震による火災は免責で、地震保険に加入していないと補償されないこと。ただし、地震保険は火災保険の50%しか補償されず、しかも保険料も割高なため、全国の世帯加入率は1/3程度に過ぎません。
空き家に対して割高な建物の地震保険の加入は現実的ではないかもしれませんが、家財の地震保険へ加入するという方法もあります。専門家の診断が不可欠な建物に比べて基準が緩い分支払い実績が高く、補償額が少ない分保険料負担も少なくて済みます。補償額が火災保険の50%となっている地震保険は、建物の再建築費というよりも災害時の一時金という意味合いが強い保険です。
地盤が弱い地域や傾斜地等、地震によるリスクが高いと考えられる場合は、家財の地震保険の加入を検討しても良いかもしれません。火災保険も地震保険も、補償内容は保険会社によって異なります。詳しくは各保険会社にお問合せください。
空き家の予防まずやるべきことは、権利の確保です。不動産の契約行為は、権利を持つ当事者本人が、契約する意思を明確に示さなければならないからです。したがって、親から相続したものの相続登記がされていない相続人や、高齢で認知症の親は契約行為を行うことができません。
空き家等の未活用の不動産では、相続登記がされていないケースはよくあります。現在の法律では、相続登記に法的な期限はないからです。しかし、相続登記には法定相続人全員の同意が必要なため、長期間放置しておくと法定相続人の人数が増えて同意を取るのが難しくなります。最近話題になっている所有者不明土地という問題というのは、何代にもわたって相続登記がされなかったことによる相続人不明が原因であり、相続登記の義務化も検討されています。相続人が高齢者の場合、認知症になって相続登記ができなくなるリスクもあるので注意が必要です。
もし空家を所有する親が認知症となってしまった場合は、家庭裁判所の成年後見の手続きが必要です。仮に親族全員の同意があったとしても、成年後見手続きを経ずに行った契約行為は無効となってしまいます。成年後見には後見人の選任等の煩雑な手続きがあり、最低でも3~4ヵ月の期間と相応の費用がかかります。相続登記も成年後見も司法書士等の専門家へ依頼することになりますので、早めに相談することをお勧めします。