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団塊世代の田舎暮らし

いわゆる「2007年問題」が今年からスタートしました。1947年から49年に生まれた約700万人の「団塊の世代」が定年退職を迎えるのです。ちなみに1971年から74年に生まれた団塊世代の子ども達は「団塊ジュニア世代」と言われ、逮捕されたホリエモンは「団塊ジュニア世代」にあたります。 

2007年問題」は不動産市況へも影響を与え、住宅で言えば「リフォーム」や「住替え」ニーズが高まっています。「建替え」よりも「住替え」志向が高いのが団塊世代の大きな特徴で、特に都心マンションへの「都心回帰」と地方での「田舎暮らし」の二極化が顕著になっています。団塊の世代の約1/6にあたる120万人は、高度成長期に都会へ移住した地方出身者です。したがって、現居住地に対する愛着心や地域とのつながりは必ずしも強くなく、定年後は新天地で新たな気持ちで暮らしたいと考えるのは自然なことかもしれません。

それでは「団塊の世代」は、どのような「田舎暮らし」を求めているのでしょうか?ひと言で言えば「田舎的暮らし」を求めているのです。過疎の農村地域での自給自足農業のような「本格的田舎暮らし」ではなく、都会的な利便性を享受しつつ豊かな自然の中で暮らす「田舎的暮らし」に憧れているのです。「週末には都会の友人や子ども家族が遊びに来て、昼食は景色の良い庭のテラスでバーベキュー」「食卓には地元のワインや手作りパン、家庭菜園で採れた野菜が並ぶ・・・」、そんなイメージと言えばわかりやすいかもしれません。

「田舎的暮らし」には交通や生活の利便性が欠かせません。又、雪や災害が少なく、移住者が多い地域が好まれています。「安曇野」はこれらの条件に非常に恵まれています。したがって、ここ数年多くの団塊世代が、定年後のIターン先として「安曇野」を選んでいるのです。

「安曇野」での「田舎的暮らし」を希望するIターン者には、次のような特徴があります。ひとつは首都圏だけでなく関西圏や中京圏の在住者が多いこと、そして「団塊の世代」だけでなく30代前半の「ヤングファミリー」が多いことです。一般的に転職を伴う「ヤングファミリー」は、「団塊の世代」よりもIターンが難しいと言われています。その点県内一の工業出荷額を誇り、精密機械や電子部品の工場が多く立地している「安曇野」は、Iターン者にとっての雇用環境が恵まれていると言えるのかもしれません。

定年退職者のIターンは以前からありましたが、「団塊の世代」とそれ以前の世代では志向が大きく異なっています。以前は都会の自宅を売却し、別荘地等に新築を建てて移住する「完全移住」が主流でした。しかし最近は、都会の自宅は所有したまま子ども家族や他人に賃貸し、将来的には都会に戻るかもしれないと考える「限定移住」が多くなっています。定年して間もない元気なうちは「田舎的暮らし」を楽しみつつ、年を取ったら田舎での生活はできないだろうと現実的な選択をしているのです。したがって、不動産の購入はあくまでも15年~20年の利用料と割り切り、必ずしも新築にこだわらず中古でも良いと考えているのも大きな特徴です。

「団塊の世代」は立地や価格等の希望条件もとても類似しています。家庭菜園ができる広さ(約100150坪)の土地と、夫婦と友人が泊まれる小さな建物(約2030坪)で、別荘地よりも眺望の良い田園環境を好む傾向があります。価格的には中古で約10001500万、新築で約20002500万で、老後の資金を残して現金で購入するケースがほとんどです。退職金を含めた自己資金の約半分を、20年間の「田舎的暮らし」に投資する、そんなイメージでしょうか。

「安曇野」での具体的な事例を見ると、合理的に判断する「団塊の世代」の特徴と傾向が良くわかります。そして同じような志向を持った約700万人の「団塊の世代」が、実際に定年退職を迎え、その一部が「田舎的暮らし」を求めて地方への移動をはじめています。この動きが大きなビジネスチャンスであることは否定しませんが、必ずしも地域の活性化につながるとは言い切れないという現実もあります。都会から田舎へ移住した「団塊の世代」が、20年後に一斉に都会に戻るとどうなるのでしょうか?その影響の大きさは、誰でもたやすく想像できるでしょう。「田舎的暮らし」と「限定移住」の恐さはそこにあるのです。

どんなにすばらしい風景を眺めていても、地域住民との交流がなければ長続きはしません。ただ単にIターン者を増やすだけでは将来スプロール化が進み、結果として地域の崩壊を招くだけです。Iターン者と地域住民との交流を進め、いかに地域の活性化につなげていくかが求められているのです。Iターン者の先輩として、又、仕事上もIターンに関わる機会が多い者として、そのことをきちんと伝えていきたいと思っています。

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